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ISO 11607-1とは?基礎知識や役割、対象の包装や基づく試験内容まで解説!

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ISO 11607-1の画像

医療機器の包装は、滅菌性を維持し、安全な状態で患者に届けるために重要な役割を果たします。その品質を保証するために、ISO 11607-1という国際規格が存在します。

この規格では、包装材料の選定や密封性、耐久性の評価などが求められ、医療機器の安全性を確保するための基準が定められています。

本記事では、ISO 11607-1の基本概要や重要性、適用される包装の種類、実施すべき試験について解説しました。ぜひ参考にしてみてください。

また、以下の記事では輸送包装試験を行う際におすすめの会社を紹介していますので、気になる方はぜひ一度チェックしてみるといいでしょう。

目次

ISO 11607-1とは?

ISO 11607-1とは、医療機器の無菌バリアシステム(SBS)に関する国際規格です。この規格は、医療機器の包装が輸送・保管・使用時に無菌性を維持し、安全性を確保するための要件を定めています。

具体的には、包装材料の選定、シールの強度、滅菌適合性、耐久性試験、輸送試験などが含まれています。ISO 11607-1は、医療機器メーカーや包装設計者にとって、品質保証と法規制対応の指針となる重要な基準です。

なぜISO 11607-1が重要なの?

ISO 11607-1が重要な理由は、医療機器の無菌性を保証し、感染リスクを最小限に抑えるためです。なぜなら、不適切な包装では、輸送中や保管中に滅菌状態が損なわれ、患者や医療従事者への安全性が確保できなくなるからです。

この規格に適合することで、包装の耐久性や密封性を保証し、国際的な法規制(FDA、EU MDRなど)にも対応できます。さらに、ISO 11607-1に基づいた適切な包装設計を行うことで、製造や流通の効率化を図り、品質管理を強化することが可能です。

どのような包装が対象になる?

ISO 11607-1の対象となる包装は、医療機器の無菌性を保持するための『無菌バリアシステム』および『保護包装』です。具体的には、ブリスターパック、滅菌パウチ、硬質トレイ、熱成形包装、バイアル、シリンジ、カテーテル包装などが含まれます。

これらの包装は、密封性や耐久性が求められ、輸送や保管時の環境変化(温度・湿度・振動など)にも耐えられるよう設計される必要があります。

適切な試験を行い、規格に適合していることを確認することが不可欠です。

ISO 11607-1が求める医療機器包装の役割は?

ISO 11607-1では、医療機器の包装に対して厳格な要件が定められています。ここでは、ISO 11607-1が求める医療機器包装の役割ついて詳しく解説します。

以下で詳しく解説します。

無菌バリアの維持

医療機器の包装は、滅菌された状態を維持するための『無菌バリアシステム』として機能する必要があります。無菌バリアが適切に機能しないと、外部の細菌や異物が医療機器に侵入し、感染リスクが高まる恐れがあります。

そのため、ISO 11607-1では密封性や材料の選定、滅菌適合性に関する試験が義務付けられています。また、医療機器の滅菌方法(エチレンオキサイドガス、放射線滅菌など)に適した包装材を使用することが重要です。

包装の耐久性確保

輸送や保管中に包装が破損してしまうと、無菌状態が損なわれる可能性があります。そのため、ISO 11607-1では、包装の強度や耐久性を確認するための試験が求められています。

例えば、落下試験や圧縮試験などを実施し、輸送時の衝撃や圧力に耐えられるかの実験です。また、包装のシール部分の剥離強度も重要であり、適切なシール強度が維持されているかの確認も重要です。

適切な耐久性を確保することで、流通過程での破損リスクを最小限に抑え、安全な供給を実現できます。

医療現場での使いやすさ

医療機器の包装は、開封時に簡単に取り出せる設計が求められます。特に、滅菌領域を汚染しないように開封できる『ピールオープン包装』や、視認性の高いラベル表示が重要です。

また、手袋を着用した状態でも開封しやすい工夫が必要であり、開封後に破片が発生しないように設計することも求められます。

ISO 11607-1では、こうした開封性や視認性を考慮した設計基準を定めており、医療従事者がスムーズに作業できるように配慮されていることが特徴です。

ISO 11607-1に基づく医療機器包装の試験とは?

ISO 11607-1では、医療機器の包装が適切に機能するかを確認するために、さまざまな試験が実施されます。ここからは、ISO 11607-1に基づく医療機器包装の試験を紹介します。

以下で詳しく解説します。

密封性試験

密封性試験は、包装が適切に密閉されているかを評価するための試験です。無菌バリアを維持するためには、包装のシール部分に隙間やピンホール(微細な穴)がないことを確認する必要があります。

代表的な試験方法として、バブルリーク試験やダイペネトレーション試験があります。バブルリーク試験では、包装を水中に沈めて内部に圧縮空気を注入し、気泡が発生するかを観察します。一方、ダイペネトレーション試験では、色素液を使用し、シール部分に漏れがないかを確認します。

これらの試験を実施することで、密封不良を早期に発見し、安全な包装設計の実現が可能です。

物理的試験

物理的試験は、包装が輸送や保管時の物理的ストレスに耐えられるかを確認する試験です。代表的な試験には、落下試験、圧縮試験、振動試験があります。

落下試験では、包装を一定の高さから落とし、破損の有無をチェックします。圧縮試験では、包装に一定の圧力をかけ、耐圧性を評価します。振動試験では、輸送時の振動環境を再現し、包装が損傷しないかを確認します。

これらの試験を行うことで、流通過程での破損リスクを軽減し、安全な医療機器の供給を実現することが可能です。

環境試験

環境試験は、医療機器の包装が温度や湿度、光などの外部環境にどのように影響されるかを評価する試験です。代表的な試験には、温湿度試験や加速劣化試験があります。

温湿度試験では、高温多湿や低温環境での包装の変化を調査し、包装材の劣化や変形の有無を確認します。加速劣化試験では、包装を特定の条件下に長時間置くことで、長期間の使用に耐えられるかを評価します。

これらの試験を実施することで、医療機器の安全な保存と流通を確保することが可能です。

ISO 11607-1を理解して安全な医療機器包装を実現しよう!

ISO 11607-1を理解し、適切に適用することで、安全な医療機器の供給が可能になります。この規格に基づいた包装試験を実施することで、密封性や耐久性が確認でき、滅菌バリアを維持することができるでしょう。

適合試験を怠ると、包装不良による感染リスクや規制違反のリスクが高まり、製品の市場流通に影響を与える可能性があります。医療機器メーカーや包装設計者は、ISO 11607-1の要件を遵守し、高品質な包装を設計することで、医療現場での安全性向上に貢献できるでしょう。

輸送・包装試験会社を選ぶ際の注意点

輸送・包装試験は、医療機器や電子機器、工業製品の品質保証に直結する重要な工程です。そのため、試験会社の選定はコストや納期だけでなく、技術力や対応力など多角的な視点から行う必要があります。

事前に確認すべきポイントを押さえておくことで、後悔のない依頼が可能となるでしょう。ここからは、輸送・包装試験会社を選ぶ際の注意点について解説します。

以下で、それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

対象規格や試験項目への対応範囲を確認する

試験会社によって対応できる規格や試験項目の範囲は異なります。たとえば、ISO 11607-1、ASTM、ISTAなどの国際規格に準拠した試験が必要な場合、それに対応していない会社では再試験が必要になり、時間とコストが二重にかかる可能性もあります。

さらに、密封性、耐圧性、振動・衝撃、温湿度など、自社製品に必要な項目に対応しているかも事前に確認しましょう。試験精度や設備状況の確認も含め、依頼前に要件と照合することが重要です。

また、最新の試験基準に対応しているか、国際的な認証を取得しているかも、信頼性を見極めるポイントになります。

試験レポートの品質と納期に注意する

輸送・包装試験の結果は、製品の出荷判断や規制対応に不可欠です。そのため、レポートの内容が不十分だったり、納品が遅延した場合には、社内の承認プロセスや納期に影響を及ぼす恐れがあるので注意が必要です。

信頼できる試験会社であれば、フォーマットの明確さ、必要情報の網羅、報告のスピードにおいて安定した品質を保っています。依頼前にサンプルレポートを確認し、納期や提出方法、内容のカスタマイズ可否についてもヒアリングしておくと安心です。

加えて、英語対応のレポートが可能か、GMPやQMSに準拠した形式で提出されるかも、海外展開を視野に入れる場合は重要なチェックポイントとなるでしょう。

複数社から比較・見積もりを取る

試験会社ごとに、対応範囲・試験精度・納期・費用などに違いがあります。1社だけで決めてしまうと、相場感や他社とのサービス差を見極めにくく、結果的に不利な条件で契約してしまうこともあるので注意が必要です。

複数社に見積もりを依頼し、試験の目的や必要項目を伝えた上で内容を比較することで、コストと品質のバランスがとれた最適な選定が可能になります。また、対応のスピードや技術スタッフの説明力も比較ポイントとして重視するとよいでしょう。

さらに、継続的に依頼する可能性がある場合は、ボリュームディスカウントや年間契約の有無などもあわせて確認することで、長期的なコスト削減にもつながります。

おすすめの輸送・包装試験会社3選

製品の安全な輸送を実現するには、適切な包装設計とそれを裏付ける試験が不可欠です。信頼性のある包装評価を行うためには、専門知識と試験設備を備えた会社への依頼が安心です。

ここでは、輸送・包装試験に対応し、実績と信頼を備えたおすすめの会社を3社ご紹介します。

それぞれの特徴を見て、自社に合ったパートナーを選びましょう。

日本ビジネスロジスティクス株式会社

出典元:日本ビジネスロジスティクス株式会社

日本ビジネスロジスティクス株式会社は、安田倉庫グループの一員として、包装・物流ソリューションを提供する企業です。

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項目詳細
会社名日本ビジネスロジスティクス株式会社
所在地神奈川県横浜市神奈川区守屋町三丁目9番地 3号ビル2階
設立年1993年6月23日
公式サイトhttps://www.jbl.co.jp/

包装分野では、包装設計から試作、評価試験、資材の調達までを一貫して提供する体制を構築。特に「輸送包装試験」「環境試験」「材料試験」に対応しており、製品特性や輸送条件に合わせた高度な包装評価が可能です。

また、公式ブログでは包装試験の種類や目的についても詳しく発信しており、専門知識がない企業でも安心して相談できる点が魅力。精密機器や電子部品など、取り扱いに慎重さが求められる製品の評価にも対応しています。

総合的な包装ソリューションを求める企業に最適なパートナーです。

以下の記事では、日本ビジネスロジスティクスが対応している試験内容や会社の特徴などを紹介していますので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

もっと詳しく知りたい方は、公式サイトを御覧ください。

日通NECロジスティクス株式会社

出典元:日通NECロジスティクス株式会社

日通NECロジスティクス株式会社は、NXグループとNECの共同出資による3PL企業で、精密機器や半導体関連の物流を強みとしています。

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項目詳細
商号日通NECロジスティクス株式会社
本社神奈川県川崎市中原区小杉町1-403 武蔵小杉STMビル
設立1972年2月28日
公式サイトhttps://www.nittsu-necl.co.jp/

包装評価の分野では、JIS Z 0200:2023(包装評価試験の新基準)に適合した評価にも対応。標準規格に基づく試験のほか、電子機器やリチウム電池など輸送時にリスクを伴う製品の包装設計や積載試験も実施しています。

また、国内外の物流ネットワークと連携し、試験結果を踏まえたグローバル展開の最適化にも貢献。包装・梱包における設計、試験、運用までを一括で任せられる体制は、大手ならではの安心感があります。

以下の記事では、日通NECロジスティクスが対応している試験内容や会社の特徴などを紹介していますので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

ロジスティード株式会社

出典元:ロジスティード株式会社

ロジスティード株式会社は、旧・日立物流から生まれた企業で、グローバルに広がるサプライチェーン構築を支援する総合ロジスティクス企業です。

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項目詳細
商号ロジスティード株式会社
創業1950年2月
本社所在地東京都中央区京橋二丁目9番2号 ロジスティードビル
公式サイトhttps://www.logisteed.com/jp/

重量機工や3PL、フォワーディングなど幅広い事業を展開する中で、輸送・包装試験にも対応。業界トップクラスの拠点数と物流知見を活かし、カスタム対応可能な包装設計・評価を行ってます。

サステナビリティやESG経営にも積極的で、環境配慮型の包装にも対応。国内外の拠点や自社施設を活かした対応力の高さがあり、物流と包装を一体で最適化したい企業にとって注目の存在です。

また、以下の記事では、ロジスティード株式会社が対応している試験内容や会社の特徴などを紹介していますので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

まとめ

本記事では、ISO 11607-1について解説しました。

ISO 11607-1は、医療機器の無菌バリアシステム(SBS)の国際規格であり、密封性・耐久性・環境適応性を評価するための基準を定めています。この規格に適合することで、医療機器の無菌性を確保し、感染リスクを低減し、安全な供給を実現できます。

密封性試験・物理的試験・環境試験などの検証を通じて、包装の品質管理を徹底することが求められます。適切な包装試験を実施し、高品質な医療機器の提供を目指しましょう。

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